新着情報

「屋根工事における墜落制止用具として義務化されたフルハーネス型」


 

 

建設業における作業において安全具は必需品であり、
特に屋根工事などの高所作業の場合は墜落制止用具の「安全帯」が絶対に欠かせません。
従来、安全帯は主に腰に着用する「胴ベルト型」が使用されていました。
それが、労働安全衛生法施行令(安衛法)の一部改正によって、「フルハーネス型」が原則とされました。

●屋根工事に使用する安全帯とは

安全帯というのは、屋根工事などの高所で作業する時のための命綱のことです。
安全帯を体に取付け、フックを固定物に引っ掛けることで、
仮に墜落しても地面に落ちることを防止する役割をします。

 

脚立や梯子、高所作業車を使用したり、高さが2m以上の天井や屋根に上ったりする際に、
墜落防止対策が採れない場合は安全帯の使用が義務付けられています。
ただ、実際の屋根工事の現場では、墜落防止の対策をしてあったしても、
安全を期すために安全帯を付けることが通例となっています。

●屋根工事で義務化されたフルハーネス

実は海外では、フルハーネス型が以前から当たり前のように使用されていました。
海外の屋根工事などでは全員がフルハーネスを着用しており、胴ベルト型の安全帯を見ることはありません。
フルハーネス型の着用の義務化は決して特別なことではありません。
今回のフルハーネスの義務化によって、「胴ベルト型」は使用できなくなります。

 

従来から屋根工事などに使用する安全帯には以下の2種類がありました。

・胴ベルト型:腰に巻き付けるベルトタイプ

・フルハーネス型:ベルトで全身を覆い、肩、胸、腰、腿、骨盤などを確実にサポート


フルハーネスが法律によって義務化された理由には、胴ベルト型には人命にかかわる欠点が存在するからです。

1)胴ベルト型のデメリット

胴ベルト型のデメリットには主に以下の2つがあります。

①転落時に体のバランスがとれない。

②腰、腹が強く圧迫され、内臓の損傷や腰の骨折のリスクがある。


実際に、胴ベルト型の安全帯を着用した作業員が墜落した際に、死亡したという事例があります。
一方、フルハーネス型は装着に手間がかかり、また作業活動に制約を生じるというマイナス面がありますが、
人命は確実に守れます。

 

2)フルハーネスのメリット

フルハーネスのメリットは胴ベルト型のデメリットが解消されたことです。

①墜落時に体のバランスを取りやすい。

②体全体をサポートしているため、墜落の衝撃による体への損傷リスクが少ない。


一番わかりやすい例が、「バンジージャンプ」です。胴ベルト型を着用して飛び降りた場合、
地面に落ちなくても宙づりになった衝撃で、筋肉や筋を傷めたり、骨を折ることも考えられます。
フルハーネスであれば、墜落時の体の安全を確保できます。

●労働安全衛生法施行令の改正ポイント

労働安全衛生法施行令の改正ポイントは以下の5つです。

①「安全帯」の名称が「墜落制止用器具」に変更

②墜落制止用器具は「フルハーネス型」を使用(6.75m以下の場合は胴ベルト型でも可)

③フルハーネスの使用には「安全衛生特別教育」が必要

④法改正後の墜落制止用器具(フルハーネス型、胴ベルト型)は新規格品の使用が義務

⑤フルハーネスは2022年1月2日から完全施行(それまでは猶予期間)


③の安全衛生特別教育は全国各地で様々な団体で講習を受けることができます。
なお、作業員を多数抱えている業者は、講習のスケジュールが煩雑になる恐れがあります。
そこで、出張講習をうけることが可能になっています。
仮に、受講希望者が10名以上いる場合は、自社に来てもらって講習を受けられます。

●まとめ

屋根工事は非常に危険な作業です。
いくら作業に慣れていたとはいえ、何が起きるか分かりません。
不意のことがあった時に体を守ってくれるのが安全帯です。
特に、フルハーネスは屋根工事の必需品と言えます。